会長挨拶
MESSAGE

 近年、金属鉱物資源やエネルギー資源を巡る情勢は大きく変貌を遂げています。新興国をはじめとする世界の資源需要は増加し、資源価格の未曾有の高騰をもたらし、また、資源開発への外資の参入制限や資源の輸出制限といった動きにも象徴されるように、資源保有国における資源ナショナリズムは高まり、資源消費国による資源獲得競争は激化の一途をたどっています。
 こうしたなかで、我が国には領海を含めて世界第6位の面積を有する200海里の排他的経済水域(EEZ)に、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥をはじめとする豊富な資源が存在することが明らかとなってきています。
 しかしながら、これらの海洋鉱物資源の開発には、探査・採鉱・揚鉱・輸送・製錬といった一連のシステムを構成する技術開発が必要であるとともに、環境保全・資源経済・産業振興・関連法制・国際動向などの幅広い視点からの知見にもとづく多角的な検討を行うことが重要であります。
 既に2019年2月には、前年5月の第3期海洋基本計画の策定にともなって、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」も改定され、政府としての取り組みは着実に進んでいますが、今後、海洋鉱物資源開発の早期の商業化に向けて、上記のあらゆる分野や視点について産学官の幅広い連携を図りつつ、取り組みをさらに強化していくことが肝要であります。
 そうした観点に立ち、海洋鉱物資源開発の一層の促進、鉱物資源業界と海洋関連産業界との交流と連携の強化を目指して、2009年に我が国の海洋資源開発・海洋産業関係者の多方面からの参加を得て、「海洋資源・産業ラウンドテーブル」を設立して、今日に至るまで、活発な活動を継続してまいりました。
 本ラウンドテーブルの活動が、今後の海洋鉱物資源の開発に寄与できるよう、一層努力してまいる所存でありますので、皆様におかれましては、格別のご協力、ご支援を賜れれば誠に幸いです。

海洋資源・産業ラウンドテーブル会長
青山 伸昭